目次
1 各種に共通の症状と処置
根腐れ、日焼け、
2 病気と薬の事典
洋ラン失敗学
3 主な種類別の主な症状
西洋フウラン
カトレヤ
パフィオペディルム
胡蝶蘭、根腐れ、日焼け、炭ソ病、軟腐病
4 害虫と殺虫剤について
5 殺菌剤の分類
1.各種に共通の症状と処置
良く言われているように、特に梅雨時には、葉に異常が現れるようです。見ると、強健と思われる物も含めて殆どの種類の葉のどこかが黒くなっているようです。
本を見ると、薬をかけて直さないといけないように書いてありますが、放っておいても、本にあるほどにはひどくならず、例えばデンドロビウムでは、秋になると落葉してしまうため一見病気が無くなったように見えます。また病気のために落葉したように思われる場合でも、複茎性の場合は、新しい芽にとって代わられるので、症状も終わるように思われます。初心のうちは、洋ランにはこの程度の病気はつきものだ、と開き直った方が、精神衛生には良い場合もあるのではないでしょうか。
下記の例では、病気と診断された株が大抵翌年も元気に育っています。予防や病状抑えのために
梅雨入り前と最中および秋に室内に取り込む時に、殺菌剤を散布しています。ベンレートに展着剤を加えて、全種の葉の表と裏に散布、梅雨の間に2回目も撒きます。人間の病気と違って治ることは余りありませんが、広がるのを防げることはあります。
オンシジウムの落葉/黒点病
1年目の梅雨時に1株の葉の一部が黒くなりました。ベンレートをかけましたが、夏ごろにその葉全体が変色し、落ちてしまいました。
栽培が初めてということもあり、株は小さくなってしまいましたが、翌年も元気に生育しています。
カトレヤの新芽の黒腐れ/黒腐病
2年目の梅雨時にカトレヤの新芽が数cmの長さになった時に突然真黒になってしまいました。
デンドロビウムの炭ソ病
1年目の梅雨時に葉の一部に黒い点が幾つか出ました。秋になる前にその葉が落ちてしまいました。
栽培が初めてということもあり、株は小さくなってしまいましたが、翌年も元気に生育しています。
シンビジウムの新芽の茶枯れ
初夏に、小さな新芽が根際から茶色くない枯れることがあります。このころの小さな芽は芽掻きをするもので枯れてもかまいませんが。
パフィオペディルムの葉枯れ/軟腐病や株枯れ/カビ
冬に室内のやや小さい苗が全体に茶色くなって枯れてしまいました。カビのようです。
大きな苗でも一番下の葉の根元の所から茶色に変わって枯れることがあります。軟腐病と言われています。乾燥気味だと、また根元を露出させて植えると良いかと思うのですが、根が乾燥に弱いというのでそうもいきません。新しい葉が出ていれば全体が弱るような影響はありません。
胡蝶蘭・パフィオペディルム・オンシジウムの日焼け
胡蝶蘭は日焼けに弱く、直射日光が少しでも当たるとその箇所が日焼けになるようです。日焼けの箇所は一部でも、葉全体が落葉したり、はなはだしい場合は株が枯れてしまうことがあります。
パフィオペディルムは遮光率を大きくする必要があると言われています。少しでも強い直射光が当たるとその部分が黒く日焼けしてしまいます。ただし、他の病気に変わるようなことはあまりありません。
オンシジウムの方が葉が沢山あるので気楽ですが、やはり日焼けしやすい方です。こちらはは全体に及ばないことがあります。
2.病気と薬の事典(ガーデンシリーズ 洋ラン 種類と栽培入門、誠文堂新光社 1975、などより)
カビかバクテリアによる物が多い。モザイク病はウイルス
カビは胞子で、バクテリアは分裂により増える。
生物というと、動物と植物をまず思い浮かべるが、もっと原始的でどちらとも言えない生物がある。現在では
生物は一般に
細胞をもつものとされ、その分類では、まず最も原始的な
原核生物(古細菌と真性細菌(
バクテリア))と、細胞の中に細胞核のある真核生物に分けられる。
真核生物はさらに、原生動物、菌類(
カビを含む)、植物、動物に分けられる。
ウイルスは
細胞構造を持たずに動物・植物の細胞の中でのみ増殖するという物である。
多くの
殺菌剤は主にカビによる病気に用いられるが、バクテリアにも用いられる。一方
抗生物質は、主に
抗菌(バクテリア)剤であるが、
抗ウイルス剤もある。最初の抗生物質であるペニシリンがアオカビから作られるように、元来は微生物によって作られ微生物の発育を阻害する物質である。
サルファ剤はスルホンアミド (-S(=O)2-NR2)を含む化学療法薬で、微生物の葉酸の生合成を阻害するため
細菌(バクテリア)を抑えるが人体には害がない。
病名 病原 気象条件 症状 被害の多い種類 薬
黒色腐敗病 ピシウム(温暖・春秋) 葉焼けの傷口やカイガラムシのキズ跡から侵入 硫酸銅、ダイセン・キャプタン・ダコニール混合、パンソイル土壌灌注
フィトフトラ(低温・冬)
葉腐れ病 ピシウム・スプレンデンス 高温多湿
炭そ病 グロエオスポリウム(カビ) ボルドー、ベンレート、トップジン
さび病 ヘミレイア・アメリカーナ(カビ)カビ 石灰硫黄合剤
白絹病 コルティキウム・ロルフシー(カビ) ベンレート、トップジン、タチガレン
灰色かび病 ボトリチス・キネレア(カビ 夜間の低温と多湿 キャプタン(オーソサイド)・ダコニール・ジクロンで薫煙か、ダコニール・トリアジン
(ボトリチス病)
褐斑病) フィトモナス・カトレイエ(バクテリア) ヒトマイシン・アグレプトに数十分浸漬
腐敗病 エルウィニア・シプリペディ(カビ) パフィオペディルム 22℃多湿 ヒトマイシン・オキシノリンに浸漬
軟腐病 エルウィニア・カロトウォラ(バクテリア) カトレヤ、コチョウラン ヒトマイシン・アグレプト
プセウドモナス(バクテリア) コチョウラン 葉が半透明淡黄褐色 オキシノリンに浸漬、切り口に硫酸銅液塗布
3 主な種類別の主な症状
(1)西洋フウラン
落葉
西洋フウランは、風蘭の血を引いて、丈夫で低温にも強いです。その名の通り、通風を好むとされているのは、バンダも含めてのようです。
西洋フウランが輸送中に狭い容器に数日閉じ込められていたら、根元から太い葉が黄色くなって、次々に落葉してしまいました。
バンダ類は単茎性なので、葉を長持ちさせないと、複茎性よりも弱り易く、また根元が開くと見栄えが悪くなってしまいます。
根腐れ
花つきで売られている鉢は、根腐れを起こしている場合が多いです。
新葉や新芽の枯れ
春に、生長点から出てきた新しい葉が、小さいうちに茶色く枯れることがあります。カビが原因のようです。冬から春にかけて、室内に置いて根元が湿りがちだと起きると思われます。同じ新葉でも、大株で、高い位置にある場合はやや少ないようです。
新芽の枯れ
芽が出たばかりで小さいものが枯れることがあります。これもカビが原因の場合があります。
(2)カトレヤ
黒色腐敗病
カトレヤの新芽が真っ黒になって腐ることがあります。葉焼けの傷口やカイガラムシのキズ跡から侵入するとされ、硫酸銅、ダイセン・キャプタン・ダコニール混合などで殺菌し、予防します。
(3)パフィオペディルム
葉の根元からの茶枯れ病
パフィオペディルムでは、葉の根元が茶色くなって、上まで枯れていくことがあります。カビが原因のようです。
(4)コチョウラン
根腐れ
日焼け
炭ソ病
軟腐病
4.害虫と殺虫剤について
4.1.害虫の色々
洋ランの主な害虫は、他の植物と同じで、カイガラムシ、ハダニ、アブラムシ、アザミウマです。またナメクジに若芽や葉を食べられます。
(1)
カイガラムシ
カイガラムシは、とても大家族の昆虫で、セミなどと一緒の仲間です。カイガラムシ(マルカイガラムシ)科、ロウムシ科、コナカイガラムシ科などに分けられます。成虫の大きさは数ミリです。多くは単為生殖と言って、数回脱皮し不完全変態し、メスだけで繁殖し一度に最大数百匹の卵を産み、年に数回発生します。カイガラムシは生後しばらく以降は動きません。介殻があるので2齢幼虫以降は殺虫剤をかけても効き目がありません。退治したと思っても根元近くなどに生き残って再発します。
コナカイガラムシは、介殻が無いため、殺虫剤の効果がありますが、同じく隠れているため再発します。主に細葉につきパフィオペディルムやコチョウランの被害が大きいです。ロウムシは。
(2)
ハダニ
ハダニは大きさ約0.5mm以下で、肉眼で見るのは難しいくらい小さいです。蜘蛛と同類の節足動物です。細葉のランの葉裏につきます。シンビジウム・デンドロビウム・パフィオペディルムにつきやすいです。高温・乾燥の状態で繁殖することと、雨に弱いため、屋外よりも温室の方が被害が起きやすいです。また、カイガラムシと違って外から侵入するため退治しても再発します。無防備なので、被害に気付いたら殺虫剤を噴霧すると抑えることができます。但し同じ薬を続けると抵抗力がつくといわれています。
(3)
アブラムシ
アブラムシは、羽根の見える昆虫で、大きさは数1mmで、蕾や若葉につきやすいです。殺虫剤の効果があります。
(4)
アザミウマ(スリップス)
上の3種類ほど知られていません。大きさ約0.5mmと小さく、幼虫はさらに小さくて透明なので、見つけることが困難です。葉の裏に穴を開け、ハダニのように葉が白っぽくなります。ハダニのように殺虫剤が効きます。
4.2.殺虫剤の色々
殺虫剤には、従来からある
神経をかく乱するもの(
有機リン)の他に、近年は
脱皮を阻害するものができました。また、害虫に直接かけて使う物の他に、植物の根元に撒いて植物が根から吸収し、植物体から害虫が吸汁すると同時に作用する「
浸透移行性」の物があります。カイガラムシには特に後者でないと効きません。脱皮阻害剤は噴霧型が主ですが、成虫にかかるとそれから生まれた幼虫にも効果があるとされています。
殆どの殺虫剤は人体に有害です。できるだけ少量、吸い込まないように、屋外などで散布します。脱皮阻害剤は毒性が少ないです。
洋ランの害虫は主にカイガラムシです。シンビジウムの屋外での栽培では被害が少ないようですが、他の種類では特に温室や室内栽培では必ずと言って良いほどついています。また、新しい苗を入手するとそれに伴って他の苗にも伝染することが多いようです。
本を読んでも余り書かれていませんが、大事なことは、カイガラムシは
介殻に覆われている、元の親が主に葉と薄皮の間などに隠れているために殺虫剤が効かない、
生まれたばかりの幼虫は介殻がなく殺虫剤が効くが、小さくてほとんど見えず、年中孵化している
ことです。
新しい薬として、幼虫の脱皮阻害剤があります。商品名はアップロードで、ホームセンターなどになければ農協では手に入るでしょう。成虫にかければそれから生まれた幼虫にも効果があるとされています。また普通の神経を侵す殺虫剤のような毒性がほとんどありません。親虫を見つけ次第取ると共に、時々全体、特に根元近くに噴霧すると効果があるのではないでしょうか。
5.殺菌剤の分類(ウィキペディアより)